楽天の手数料が高いので自社でネットショップ運営へと移行を考えてる人へ
楽天の手数料が高いので自社でネットショップを立ちあげて運営したら維持費を大幅に減らせるのでそっちがいいんじゃないかといった考えが企業でしばしば出てくるようですね。
とくに現場の事情をよく知らない上司とか「なんでこんなに高い手数料払ってるんだ!自分でやればいい」なんて言いだすそうですが、今回はそんな考えを持った上司に見てほしい記事です。
楽天は、知名度もあるしコンサル(という名の営業)もついている分、比較的簡単にショップを作れるので、そこからネットショップをスタートさせる方も多いでしょう。
それが調子よく売り上げを増やす事ができれば、気づいたら毎月楽天に支払う手数料(という名の楽天税)が売り上げに比例して増えていきます。
ちょっと久しぶりに楽天のショップの費用体系を見てみました。ここによると、
- 月額出店料
- システム利用料(商品売上の数%)
- システムサービス利用料金(ポイントやアフィリエイト)
- 決済サービス利用料金(カード決済・その他)
- オプションサービス利用料金(R-Mailなど※任意)
今は、ざっとこれだけランニングコストが掛るんですが、感覚としては、何をするにもそれにことごとく利用料を乗せられる感じです。これは楽天税と呼ばれてもしょうがない(笑
楽天へ出店している企業からしたら、
(売上)-(商品原価)-(楽天の利用料)-(発送料)-(人件費)= 会社の売上
となるので、そこそこの月間の売り上げがあっても、一個一個の商品の利益率は結構下がってしまうので純利益はそこまで高くなりません。(ここは商品自体の原価率にも左右されるでしょうが)
ネットショップのメリットは、自動化によるコスト削減なのですが、自動化の為のシステム利用にいちいち手数料が掛ってるので多少うま味が減ってる感じですね。
では、自分でシステムを持って、もしくは販売手数料の掛らないネットショップサービスを使えば問題は解決するのか?
楽天を脱藩して自分の城を築くのは正しい判断なのか?応えは単純ではありません。なぜなら、楽天だからこそ成し得た売上があるからです。
楽天は独自市場である
楽天は手数料は高いものの、集客力は抜群です。楽天から抜けて独自でネットショップを構築しても、売り上げがそっくりそのまま移行するもと限りません。
それは楽天でしか買い物をしないオンリーユーザー(って言葉を今作りましたが)が多数存在するからです。
楽天は国内ECとしてはAmazonに次いで二番目のシェアを誇ります(2017年)。圧倒的な知名度。ネット通販での買い物デビューをこちらでする方もたくさんいらっしゃるでしょう。一度個人情報を登録すれば様々な店舗で買い物できるのは楽です。また、同じような商品でも値段やサービスや種類を楽天の検索機能を使って比較できます。楽天ポイントも貯まれば安くで商品を帰るのも嬉しい特典ですね。
さて、人は一度便利だと思って満足してしまえば他を探さなくなるものです。
かくいう私も5年くらい前までは楽天を頻繁に使用してました。(まぁ今ではAmazonを始め様々なショップがネット上でサービスの品質があがっていますので、いくつか見比べて買うようにしていますが)
楽天は月間の購入金額で会員ランクなるものを設定しています。それを気にしていらないものまで買ってしまう人も中にはいるでしょう。人の心理をついた旨い戦略だと思います。(笑
楽天にごちゃごちゃ見づらい構成のショップが多いし、そのせいで使いにくいのですが、それがなんだか大特価セールのチラシのような感覚を醸し出しているので、割安感を感じてしまいます。それも楽天の世界観なのでしょう。
運営している人であれば分ると思いますが、楽天のショップは外へリンクを貼る事ができません。実質外への誘導は不可能と思っておいて良いでしょう。
もし、独自の商品を扱っていて、そこでしか買えないのであればそれを求めてユーザーは辿りついて来てくれるでしょうが、楽天のオンリーユーザーを外へ引き込むのは至難の業です。
国内のネット市場とはいえ、そこには楽天独自の市場があると考えていた方が良いでしょう。楽天市場とは良く言ったもです。
販売チャネルは多い方がいい
楽天から独自のネットショップに誘導するのが困難と分かったのであれば、それはもう割り切って運営するしかありません。楽天のショップは楽天ワールドから利益を上げるための専門のショップとして割り切るのです。
ネットは世界中繋がっているので一店舗ネットショップを出せばそこに顧客を集中させる事ができると思ってしまいますが、オンリーユーザーの事を考えるとそれは何も楽天に限った事ではありません。Yahoo!ショップであってもAmazonであってもオンリーユーザーは存在するでしょう。
そう考えると、購買意欲を持ったユーザーのところへ露出を増やす為に複数店舗出店するという販売戦略は有効と言えるでしょう。
楽天でもいいですが、ネットショップですごく稼いでいるショップがあれば、色んなモールでも探してみてください。きっと色んなところに出店している思います。
私も楽天のショップを管理していた頃は、楽天以外にも四つほど同じような店舗を管理していました。商品・在庫はもちろん各店舗共通です。その時の話で言えば、会社の営業力もありましたので、オリジナルのネットショップが一番売り上げを持ってました。しかし、二番目が楽天です。他の店舗はオリジナルと楽天に比べれば雀の涙程度しか稼げませんでしたが、立派な黒字運営です。
それぞれのネットモールにオンリーユーザーがいることを考えると、各サービスに販売経路を確保しておけば、全体的な売り上げの増加を見込む事ができます。
やるならスモールスタート
一本の釣針を垂らすよりも、複数の釣り針を仕掛ける方が多数の利益を見込めるということは分ったと思いますが、リソースが足りないのに無理して拡大するのは危険です。
一つ一つの店舗に目が届かなくなるとサービスの低下を引き起こすことになり、ちゃんと稼げているショップに悪影響をもたらします。
既に複数のショップを運営しているのであれば、ネットでの販売戦略にかなり長けてくると思います。そうなればあらたに進出するにしても、費用を掛けれるかどうかの判断もつくと思いますが、もしそうでないのであればリスクを減らしたうえでスタート出来るのもネットショップの利点です。
オリジナルのネットショップを作るにしても、もしシステムを一から作り上げるのであれば数百万は余裕で掛るでしょう。しかし、デザインだけ独自に作り上げてカラーミーショップなどが提供している既存のシステムを採用すれば、外向きには完全にオリジナルなネットショップを比較的安く構築することが出来ます。モールの用意しているテンプレートをベースに改修するのであればもっとコストを抑える事ができます。
利益をちゃんと上げれるか確信を持てない手探りな状況で進める場合は費用を抑えてまずは小さくはじめてみる。そこで市場の反応をみつつ、需要があると判断すれば少しずつコストを掛けていけば良いでしょう。